輸入者本人が自己の責任において使用・消費する場合は一定の範囲内で輸入が認められる商品も、販売を目的とした輸入となれば販売者としての責任が生じます。
輸入販売業者の許可や品目ごとの認可が必要になったり、販売の際に日本語表示が義務づけられるなど、様々な規制を受けます。規制の内容は商品によって異なりますが、まずはセミナーなどで情報収集することが先決です。
ライフスタイル提案型小売形態の台頭
それは現代の小売業の業態が変化していることに由来しています。
不況の世の中、消費者は消費に対して非常に慎重です。しかし豊かな生活はしたいと思っており、ここぞというときには思い切りのよい消費をします。小売業もそういったトレンドを認識して、ライフスタイル提案型のショップ運営に変わってきています。どこにでもあるような商品をただ漫然と並べただけでは売れなくなってきているのです。
■■一味違う商材の発掘 |
||||
日本国内ではどこに行っても同じものが同じ値段で買えます。生活消耗品ならばそれでもいいですが、ある程度の耐久財となればそれでは新鮮味がありません。 しかし、海外に目を向ければそこは珍しいものの宝庫です。デザインの優れた商品、夢のある商品など世界にはたくさんあります。自社あるいは自店の商品にそ れらの一味違う海外商品を加えることで同業他社との差別化を図ることができます。
|
海外マーチャンダイジング
取引相手の選定
日本の法的規制の確認
買付け商品の確定と発注
代金決済
輸送・保険の手配
通関手続き必要な通関業者の選定
通関済み貨物の引き取り
国内法による品質表示と取扱説明
国内マーケティング
■■海外マーチャンダイジング |
||
マーチャンダイジングとは商品計画のことです。マーケティング目標を実現するためには(1)特定の商品またはサービスを(2)適正な場所(3)時期(4)価格(5)数量で、市場に流す事に伴う計画と統制をすることが必要です。 小口輸入でも同じことが言えます。まず何を仕入れるのか?どんな商品なのか?数量は?どこから?いくらで?・・・日本市場での話題性はどうか?顧客のニーズに適応しているか?少量買付けが可能?売りやすい商品かどうか? 小口輸入は自分自身の能力に頼るしかありません。まずは自分の得意とする商品を選びましょう。自分の得意とする商品分野ならいろいろな情報を収集するにも的確に作業できるはずです。好きこそものの上手なれ!
|
海外各国には定期的に開催される見本市(展示会)があります。欧米では見本市(展示会)は商品を選択し発注する場です。事前に情報を収集して、見本市(展示会)は外さないように気を付けましょう。
■■日本の法的規制の確認 |
||
日本国内で商品を仕入れる場合と海外から商品を仕入れる場合は情勢が違うのが当たり前です。日本国内では問題にならないことも、海外から入ってくる商品は問題を抱えていることも多いのです。まずはそこを理解しなければなりません。 一部の商品には法規制があります。健康食品やサプリメントなどは薬事法に注意します。海外では普通に売られている商品も日本では販売できないものもあるということです。また食品衛生法に引っかかるものもあります。お酒などは酒税が別途かかります。 こういったことを事前に知らないと、輸入はしたものの、日本の港から入れることができないという事態になってしまいます。商品は返送しなければなりません し、払ったお金はまず戻ってこないと考えたほうがいいでしょう。事前調査を怠った報いの月謝としては高すぎますね。
|
合意になった場合は、「日本の○○会社を、当社の(または、当社の○○製品の)日本における独占輸入元とする」という英文の確認書をもらっておき ましょう。輸入にかかる投資額が多額にならない雑貨品などの商品であれば、メールやファックスによる覚書程度の簡単な確認書で十分です。
正式な輸入総代理権契約を交わすケースは、機械類、有名ブランド商品、高額製品、国際フランチャイズ契約など、多額の投資を伴う場合です。契約書抜きの ビジネスでは後々のリスクが大きい貿易相手(たとえば中国のメーカーなど)の場合も、契約書を作成しておく必要があります。
輸入が始まってからの独占輸入権交渉や価格交渉は、大変不利になります。本格的な輸入を始める前の段階であれば、売る側(海外メーカー)よりも買う側(輸入する側)の立場が断然有利です。押しの一手で独占輸入権を要求し、有利な取引条件を確保するようにしましょう。
一般的に言って、独占輸入元は商品の販売促進、宣伝広告、営業、製品品質保証などについてのあらゆる費用を負担します。そのため、独占輸入元には特別値引き価格が適用される場合がよくあります。
たとえば、「貴社商品を日本市場で拡販していくためには、さまざまな販売促進費用が発生する。その費用をカバーするために、輸出価格を15%安くしてほしい」などと、初めから粘り強く交渉しましょう。
独占輸入権の要求に対して、海外メーカーの企業規模が小さい場合はすんなりOKを出してくることもあります。しかし、一般的には「どのくらいの年 間輸入予想数を考えているのか?」と聞いてくることが多いものです。そこで、あまり低い予想数を提示すると、「それでは、独占輸入権を渡せない」というこ とになってしまいます。契約書などに明記されていない限り、輸入販売予想数を達成できなくてもペナルティーを要求されることは普通ありませんから、控えめ な数字でなく強気の数字を提示することで独占輸入権を確保するのがコツです。
万一ペナルティーが発生するような取り決めを提示してきたら、そのようなメーカーとの取引は危険なので控えたほうがいいでしょう。また、メーカー の販売希望数量があまりに現実離れしている場合も要注意です。いくら輸入しても不満が絶えないということになりかねず、将来の良好な関係の確立が望めませ んから最初から止めた方がいいでしょう。